第5回 技術教育アイディアソン 2021

2021年度の技術教育アイディアソンを以下の日程にて開催致します。奮ってご参加下さい!

主催
 技術教育在り方検討委員会,実践研究活性化委員会,若手の会,実践事例書籍編集委員会

日時

日時 2021年12月19日(日) Zoomによるオンライン開催   ホスト:兵庫教育大学

申し込み

下記のフォームよりお申込み下さい。申し込み期限 2021年12月10日

→申し込み期間延長 12月15日までとします。奮ってご参加下さい!

★申し込みフォーム★

お申込み頂いた方へ,後日,Zoom接続情報を個別にお知らせいたします


内容

10:00-10:05  1.開会 (全体進行 埼玉大学 山本利一:技術教育在り方検討委員会・委員長)

10:05-10:30  2.「新しい技術教育の枠組み」最終確定版紹介

10:40-12:00  3.「新しい技術教育の枠組み」に対応する実践提案1~4

13:00-13:25  4.ブレークアウトセッション

13:25-13:53 5.全体への提案

14:10-16:10 6.「若手の会」勉強会~実践事例交流会~

16:10-16:25 7.実践事例書籍ご案内,投稿方法説明会

各提案内容の詳細は,下記の通りです。


次世代の学びを創造する新しい技術教育の枠組み

報告 兵庫教育大学大学院学校教育研究科 森山 潤

 本学会はこれまで,次世代型技術教育の枠組みとして,1999年に「21世紀の技術教育」(初版) ,2012年に同改訂版,2014年 に内容例示を刊行し,技術教育の理念,目的,内容知,方法知の枠組みを示してきた。しかし,1999年の初版から既に20年近い 歳月が経ち,社会の状況や技術の発展に大きな変化が生じている。特に,近年は,第4次産業革命,Society5.0,Connected In dustriesなど,AI,IoT,ロボット,ビッグデータ処理等の新しい技術と,これまでの農業,工業などの産業との高度な融合が 叫ばれるようになってきている。また,日本学術会議においては,これまでの学術体系を見直し,「あるものの探究」=認識科学 ,「あるべきものの探究」=設計科学という文理融合した新しい枠組みを提唱している。この中で,技術と特に関連の深い設計科 学は,文系と理系の壁を越えて,あらゆるタイプの人工物及びその集合を対象として,学際的に取り扱う科学と定義されている (人工物システム科学)。一方,諸外国では,理工系教育に焦点化したSTEM教育(Science, Technology, Engineering, Mathematics) が台頭するとともに,これにArt(幅広い文系・芸術系の教育)を加えた文理融合のSTEAM教育の重要性が指摘されている。このような 急速な変化を踏まえると,本学会は,技術教育の不易を分かりやすく社会に提示するとともに,時代の変化に対応し,未来を先取り し得る新しい技術教育の枠組みを提案していくことが求められる。
 この問題意識のもと,本学会では2017年より,これからの10年先を見据えた新しい技術教育の枠組みについて議論,検討を進めてきた。 本提案では,その成果をまとめた「新しい技術教育の枠組み」最終確定版を紹介する。本提案の内容は,今後の我が国における体系的 なSTEM/STEAM教育の推進に不可欠な要素を含み,技術教育の固有性と同時に,関連する各教育分野との連携可能性を示すものである。

[pdfダウンロード] 次世代の学びを創造する新しい技術教育の枠組み

実践提案1

A「データサイエンスの視点を取り入れた画像認識の仕組みを学習するプログラミング学習の提案」

提案者 埼玉大学教育学部附属中学校 木村 僚

 現行中学校学習指導要領において,情報の技術に関する学習では,ネットワーク介してやりとりのあるプログラミングと, 計測・制御システムの構築が取り扱われている。しかし,告示から全面実施までの4年間で情報の技術は目まぐるしいスピード で変化しており,現行の学習指導要領の内容では時代のニーズに適合した学びに繋がらないことが考えられる。そこで,これから の時代のニーズにあった情報の技術の学習を実施するために,近年身近な所でも活用されるようになってきたAIやデータサイエン スに着目する。また,時代のニーズに応じた学習を考えれば,その技術が使えるだけでなく,仕組みについても理解し,応用でき る力が求められる。
 本提案では,AIの中でも特に画像認識技術に着眼し,データサイエンスの視点を取り入れ仕組みについて理解することで,単な る技能習得だけではなく,今後の活用についても思考できるような授業実践の在り方について提案する。具体的には,画像認識を させる上でどのような仕組みでAIが認識しているのかを体験的に理解し,その学習を基に,生徒が画像認識技術を効果的に利用で きる方法について検討し実際に試作アプリケーションを作成する授業を開発した。また,AIやデータサイエンスを支えるインター ネットについて仕組みとして学ぶことができるようにし,現行の学習指導要領における実践にも対応できるようにした。



実践提案2

B「STEAM教育と連携した生物育成の技術から生物技術へと転換する技術教育の提案」

提案者 上越市立城北中学校 水野頌之助

中学校技術・家庭科に関する第6回全国アンケート調査によると「B生物育成の技術」の内容として,社会の発展と技術の在り方 を考える活動が7割程度の実施にとどまっており,他の3つの内容と比べても大幅な落ち込みが見られる。これは,「B生物育成の技術」 の内容が,作物の栽培・育成へ傾聴していることが主たる原因の一つと考える。また,現在のコロナ禍を受けて,科学教育や保健教育 ではSTEAM教育としての創薬やワクチンに対する科学技術ガバナンスとイノベーション教育の必要性が高まっている。
そこで本報告では,これらの諸課題の解決に向けて,技術科「B生物育成の技術」を従来の育成技術のみに限定するのではなく, 「生物技術」へ再編することで,幼稚園から高校までを一貫した次世代の学びを創造する新しい技術教育の枠組みの内容知・方法知及び 基礎となる学問の充実を図ることを目的とする。具体的には,対象内容知の領域を「遺伝子改変技術・育種技術・バイオテクノロジー」 「生物環境調節の最適化技術」「生物成長管理の最適化技術」「生物保護・医療・衛生技術」とし,範囲を「栽培植物」「飼育動物」 「水産生物」「人間」とすることで,新しい「生物技術」へと転換する技術教育の授業実践報告を行う。



実践提案3

C「創造性研究の視点を技術教育に取り入れた指導の在り方の提案」

提案者 金沢大学附属中学校   服部 浩司

 中学校技術・家庭科技術分野(以下,技術科)における,電気回路の設計に重点を置いた授業実践報告を通して,これからの技術 教育における指導の在り方を提案する。
 現行の学習指導要領では,知的財産を創造する態度の育成を重視するなど,創造性の育成 が試みられている。創造性教育に関する先行研究を調べると,「新規性」や「有用性」のあるものを生み出すとともに,創造性に対する 自信(クリエイティブコンフィデンス)を育成することが重要であるとされている。しかし,学校教育における授業実践を見る限り, それらの育成を目的とした実践は管見の限り見られない。
 創造性を育成するには,「オープンエンドな問題解決型学習」や「画一 的な授業ではない,個人を重視した活動」などが求められているため,ものづくり教育での実践が適していると考えられる。ものづくり 教育は,理科や美術科,音楽科などでも行われているが,「新規性」や「有用性」,「オープンエンドな問題解決型学習」を踏まえたも のづくり教育を考えた際,技術科の設計段階の学びが,創造性の育成に適していると考えられる。
 そこで,本報告では,創造性研 究の視点を技術教育に取り入れた指導の在り方の提案として,電気回路の設計に重点を置いた授業実践報告を行う。



実践提案4

D「技術科におけるインタフェース(つなぐもの・つなぐこと)に関する教育内容の提案」

提案者 群馬大学共同教育学部教育実践センター 紺谷 正樹

一般的にインタフェースは,ハードウェアインタフェース,ソフトウェアインタフェース,ユーザーインタフェースの3つに大別できる。 コンピュータ黎明期におけるインタフェースの語句としての使用例は,ハードウェアを「つなぐもの」が多かった。
 近年ではソフトウ ェアやユーザーを「つなぐこと」を指すことが多い。これまでインタフェースやシステムに関する教育は中学校技術科がその中核をなしていた。
  これからは,小学校におけるプログラミング教育の必修化,高等学校共通必修科目「情報Ⅰ」の新設に伴い,それぞれの発達段階における 指導内容の変化を機微に捉え,中学校技術科がその系統性を保障しなければいけない。
 本提案では計測・制御システムのインタフェー スに着眼し,これまでの学習指導要領(中学校技術・家庭編,高等学校情報編,高等学校工業編)における指導項目を整理し,今後の教育内 容について言及する。
具体的には近年,セキュリティ対策の一環としてUSB端子を使用禁止にしている自治体が増えた。そこで,USB端子 に代わるハードウェアインタフェースとしてオーディオ端子を用いた教材開発を行った。あらかじめScratch3.0で作成したLEDの点灯・点滅プログラム をMIDIノート番号の周波数に割り当て、変調して出力する。マイコン側では,コンパレータによるアナログ信号の入力を検知したあと、ソフトウェア による特定の周波数帯を抽出し、MIDI番号の判定し結果として,LED出力を行うものである。従来の音通信では,その音量や外部環境によって, その成否に影響があったが,本教材では、電気信号として、変換して転送しているため,外乱の影響はない。本教材を用いた授業実践を5時間の 単元計画で実施したものを報告する。



「若手の会」勉強会

実践事例交流会

1.挨拶と先生方の紹介

2.内容A実践発表 森下博之(島根大学教育学部附属義務教育学校)

3.内容B実践発表 藤本 祥 (熊本市立植木北中学校)

4.内容C実践発表 加藤佳昭(岩手大学教育学部附属中学校)

5.内容D実践発表 鈴木隆将(茅野市立長峰中学校)

6.ブレイクアウトで交流

  ファシリテーター:
  内容A:紺谷正樹,内容B:世良啓太,内容C:渡津光司,内容D:板垣翔大


7.まとめと挨拶  三浦寿史(熊本大学教育学部附属中学校)


実践事例書籍紹介/投稿方法

実践事例書籍編集委員会

実践事例書籍編集委員会 愛知県立小牧高等学校 井手広康

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